「ここがロドスだ、ここで跳べ!」 | 「銀の葉」

「銀の葉」

 このブログは、ぼくが今日見上げていた空や出会った風景や愛しいもの達をめぐる写真&ブルース・ダイヤリーズです。タイトルの「銀の葉」は、一枚の写真のことを表すとともに、ぼくの好きな植物である銀葉系のエアープランツからネーミングしました。Masami Ishikawa

 山川健一さんの新刊「ここがロドスだ、ここで跳べ!」を読了しました。

$「銀の葉」

 主人公の直樹が、「もう一つの向こう側の世界」で家族で過ごした街をタクシーに乗って巡るシーンにぼくは釘付けになってしまった。何故なら、ぼくは、子供の頃に過ごした静岡の祖母の家のことを思い出したから。

 毎年夏になると遊びにいって従兄弟達と過ごしたあの家。大人になって、大好きだった祖母もいなくなって、ある夏の日に法事があり、久しぶりにその家があった場所を訪れたときのことを。そこは、空き地になっていて、草が風に吹かれていたんだ。風の紛れて、子供だった僕らのはしゃぐ声が聴こえてきそうだった。

 今は、この世界では、もう存在しないのかもしれないけれど、確かにあった。ぼくらはそこにいた!そして、別の世界ではもしかしたら、今でもちゃんと存在しているのかもしれないっていう予感と期待。。。全てはつながっているんだ!
 だから、今いるこの場所でも精一杯生きていこうと思う。家族や友達、愛する人を心から大切にしようと思う。いつの日か、この世界にも「さよなら」を言わなければならないとしても。きっと、大丈夫なんだろうな。ぼくは読み終わって、そう思った。


「懐かしい場所なんだよ。俺にとってはさ。でも、空き地になっちまってる」
「ここがロドスだ、ここで跳べ!」より